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人妻と僕 [2002 ショートショートなテキスト]

 人妻と会話した。

 なにかけだるいような会話は僕と彼女の間に流れる時間をやるせないものにしていく。
 色あせた風景画の中に取り残されたような二人。喫茶店の片隅でぬるくなったコーヒーを飲むわけでもなく、ただぼんやりと眺めながら話す彼女。

 「聞いて欲しいの、ナカムラ君。」

 ささやくというには大きく、普通というにはゆるい声。

 「‘きっと幸せにするから僕のところへ永久就職しなよ’っていうのがあの人のプロポーズだったの。でもいざ就職してみたらもう倒産間近なのよ。」

 そんなこと僕に言われてもなあ。


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